161)「ニッポン入っている」
どっかで聞いたフレーズですね。そうです。この「異文化コミュニケーション」第140回でも話題にした「インテル入っている」です。英語ではJapan Inside, Intel Inside です。このフレーズを作ったのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校教授のウリケ・シェーデ (Ulrike Schaede)博士(彼女はドイツのマールブルグ大学で経済学博士号を得ています。)です。
シェーデ教授は2025年の正月明けの1月7日の日本経済新聞朝刊の Analysis欄に、このタイトルで記事を書かれたのです。趣旨は、悲観的過ぎる日本人自身が思っているほど、日本の経済は悪くない、むしろ楽観的だというものです。バブル崩壊以降「失われた30年」と言い古された、日本の状態は未だに続いており、少子高齢化とそれに伴う生産性の悪さからもう日本は立ち直れないとさえ囁かれている国内世論からすると、狐につままれた様な気分です。
シェーデ教授によると、日本の産業界はこの30年の時間をかけて、グローバルなバリューチェーンの川下から川上に軸足を移したのです。具体的には、Made in Japan の目立つ看板はないものの世界中で使われている携帯電話、パソコン、自動車、飛行機などには日本の材料や部品があらゆるところに埋め込まれています。これをJapan Inside と呼んだのです。素晴らしいネーミングですね。(パクリ感は否めませんが・・・)
シェーデ教授は、もう一つ面白いネーミングを考案しています。この日本のグローバル・バリューチェーンの川上移行という戦略的な再発明を「舞の海戦略」と名付けたのです。舞の海は、小兵のため、勝つために多彩な技を練習し「技のデパート」と言われた力士です。シェーデ教授は日本の国技、相撲にまで詳しい経済学者のようです。ビックリしたと同時に、思わすクスッと笑ってしまいました。
正月明けの日本に、希望と自信を与えてくださったシェーデ教授、ありがとうございます。
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