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日本大使館

 1か月のリヤド滞在中に一番長い時間を過ごしたのが、日本大使館の会議室です。したがって、この思い出の在サウジアラビア日本大使館とそれにまつわる話をまずご紹介したいと思います。

  日本大使館は、各国の大使館が軒を連ねるリヤド郊外の大使館地区にあります。砂漠の国とは思えないほど灌漑が行き届き、緑の多い地区です。しかし、湾岸危機という時節柄、警備は厳重に行われていました。
大使館への行き帰りの車も時々検問を受けたことがありました。各国大使館周辺にも個別の警備が行われました。その中でも際立って警備が厳重だったのが、言わずと知れた「イラク大使館」でした。

 日本大使館の黒くて重い鉄の引き戸を開けてもらい内部に入ると、2階建ての白亜の大使館が現れます。正面玄関の上には黄金色の菊の紋が飾られています。このモダンですっきりした建物の設計を請け負ったのは、丹下健三パリ事務所です。設計当時のパリ事務所の所長は山本浩三さんでした。山本さんとは後にまったく別件で知り合い、1998年に木戸医院の設計を依頼することになります。

 大使館の敷地は広大で、中には本来の大使館の他に、建物としては大使公邸が付属しています。屋外プールとテニスコートもあります。随分豪華だと思われるでしょうが、他に娯楽もないこの地で公務にあたる外交官たちにこの程度の贅沢は許されるのではないでしょうか。ちなみに一度所用でアメリカ大使館を訪れたことがありましたが、その敷地たるや日本大使館の数倍はありました。

 大使館に付属して建てられている大使公邸には、何度か招かれて食事を いただきました。我々のことに気を使われて、日本食のことが多かったです。おいしい日本食だったので、シェフは日本人だとばかり思っていたのですが、意外なことにアフガニスタン人のシェフでした。日本人のシェフに教えられ、何でも作れるようになったそうです。

 大使館は治外法権で、アルコールを飲めます。かなり酒好きの私としては、ホテルの自室を含め他では飲めないので、大使公邸に招かれた時は、勧められた時(必ず勧めてくれるのですが)必ずいただきました。
大使館というところは、アルコールにかけてはありとあらゆるものが備えてあります。それもかなりハイエンドなものが。洋食の時は、食前酒にドライ・シェリーのティオペペ、食中には料理に合わせたワイン、食後はもちろんコニャックです。日本料理の時はやはり、ビールに続いて日本酒です。食事中は料理の恩返しの意味も込め、大使夫妻の健康相談に親身に答えました。

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木戸友幸
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