98)相づち
英会話学校に通うと、割と早い時期に相づちの打ち方を教えてくれます。イエスの意味の「アーハー」とノーを意味する「アッアッ」とういう二つの相づちを教えてくれますが、日本人が使う相づちで圧倒的に多いのは、イエスの方の「アーハー」です。確かに、相手が何か英語で喋った後で「アーハー」と相づちを打てば、一応、相手の言っていることに同意したのですから、また相手の英語の喋りが続き、会話が長持ちすることは確かです。恐らく、英会話学校でこの相づちを初期に教えるのは、沈黙を減らして、英語の教師側の会話量を増やすためなのだと思います。
しかし、これまでの私自身の様々な体験や、報道番組での英語インタビューを聴いていると、英語国民は、日本人ほど相づちを頻繁に打たないのです。恐らく、英語国民にとって、相手の言っていることを、そう簡単には無条件に受け入れないといった、日本人より強い自意識があるからだと睨んでいます。
そうすると、英語での議論の時に、どう対応すれば、相手と同じ土俵で勝負できるのでしょうか。それは、具体的に、このことについては、同意できるが、この点については同意できないという風に、こっちも自意識高く対応すればいいのです。でも、そのためには、英語を聴く能力も高めなければならないですし、理屈を付けて喋れる会話力も必要とされます。でも、英語を勉強するのなら、ここまで能力を高めなければ、あまり戦力にはならないと思うのです。
1990年の湾岸危機時に、日本医療隊の責任者として、サウジアラビアのリヤドに1ヶ月間滞在しました。このとき、米軍の広報誌であるスターズ・アンド・ストライプス(Stars & Stripes)の記者に電話取材を受けたことがありあります。このときは、その米国人記者が、I understand. とか OK とか、やたら相づちをいれるので、ちょっと戸惑いました。ひょっとしたら、英語を外国語としてしゃべる私に対して、喋り易くさせようと気を利かせてくれたのかも知れませんね。だいたい、軍関係の記者などというと、半分、スパイ的な要素もあるはずで、日本人の気質や、喋る英語についても熟知しており、取材しやすさの手段としてのコミュニケーション術だったのでしょうね。
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