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92)外国語の絡む受験歴

 2019年秋以来、英語の商業試験を大学入試に取り入れるかどうかで、揉めに揉めています。そこで、英語試験にまつわる私の歴史を紹介したいと思います。中学生だった時以来、外国語の絡む試験を数多く受けてきました。これも、異文化コミュニケーションに属する話題だと思いますので、しばらくお付き合いください。

 まず、中2の時にクラスの何人かが英語教師から声をかけられ、実用英語検定(英検)3級を受験しました。確かに中2の語彙力では少し難しかったですが、何とか合格しました。高2か高3の時に、英語でもう少し上を目指したいと思い、今度は自ら英検2級を受験し合格。大学1年の時に満を持して英検1級を受験しました。一次試験の面接時に対応してくれたのが、何と高2の時の担任の英語のF先生でした。先生の方からThis is the last place to meet with you.(何とこんな所で君と会うとは)と言われました。その後ペーパー試験がありましたが、これはそれほど難しいものではなかったです。難関は二次試験です。スピーチのテーマが3つ書かれた紙が各受験者に配られました。このうちの一つをその場で選んで、英語でスピーチをするのです。その後そのスピーチについてのいくつかの質問をされ、それに答えるのです。内容は忘れましたが、結構喋り易いテーマがあったので、落ち着いて喋れた記憶はあります。もちろん一発合格でした。

 大学3年の時からフランス語学校にも通い始め、1年半ほど通った時に実用フランス語検定3級を受けて合格しました。5年になると、一般的な語学試験より本職の医学の試験、それも目指していたアメリカの臨床留学の資格試験であるECFMGの勉強に取り組みました。これも比較的効率のよい勉強法を工夫できたので、6年生の冬に受験し合格しました。卒業年の1977年にアメリカ留学試験の制度変更があり、ECFMGだけでは臨床留学できなくなったのです。基礎医学も入ったVQEという2日間の試験が科せられることになりました。めげる気持ちを奮い立て、77年秋に東京で行われた初回のVQEを受験し、奇跡的に合格しました。

 1980年からニューヨークのブルックリンで研修医を始めました。2年目の82年にFLEXというアメリカ以外の医学校卒業医師が受ける医師資格試験を受け合格しました。83年に3年間の研修期間の最後に受ける家庭医療学専門医試験にも合格し、帰国し国立大阪病院勤務を始めました。これまで、いろんな試験を受けてきたので、何も試験がないと落ち着かない体質になっていました。そこで、狙ったのが通訳ガイド試験でした。フランス語からは遠ざかっていたので、もちろん英語です。これは合格率5%ほどの超難関試験でした。不合格になってしまい、かなりショックでした。何しろこれまで英語関係の試験で落ちた事がなかったもので。そのリベンジということで、ガイド試験と難度では勝るとも劣らない国連英検A級試験を受けることにしました。まず、一次試験は長文ばかりが並ぶ筆記試験でした。大学医学部の入試の英語より、かなり難しいものでした。あまりにも難解で長い文章題が続くので、途中で頭がぼうっとなり回らなくなったくらいです。それでも、何とか一次は合格でした。それで油断したのが間違いでした。後日行われた二次試験は、さんざんでした。日本人試験官とネイティブの2人を相手に行われました。前半の雑談部分はそれなりに自然にこなせましたが、後半の当時の世界情勢や外交問題を語る部分では、準備不足で知識が少な過ぎました。最初に訊かれた「現在のメキシコ大統領は誰?」という質問に答えられなくで、焦ってしまい、その後もさんざんの出来でした。この試験は一次が山で、一次を合格すれば二次はまず大丈夫と言われていたのですが、結果は不合格でした。これら英語の最難関試験2つに立て続けに失敗したことで、私の語学検定の試験熱はかなり冷めていきました。

 1995年からの2年半、パリで医療(と言っても日本人患者がほとんど)をすることになりました。その前にフランス語の勉強を再開し、パリ滞在中それに帰国してからも2019年現在に至るまで、フランス語学習を続けています。人からは仏検2級から1級と順に受験したらいいのにとよく言われます。しかし、あれほど試験好き(必要にかられてという面もありますが)だった私が、2000年以降からは語学能力判定のための試験に一切関心がなくなりました。といっても英語やフランス語は今でも好きで、英語もフランス語もペーパーバックの小説やノンフィクションを数ヶ月に一冊は読んでいますし、フランス語は週1で学校にも通っています。要するに語学の能力を他人に承認してもらう必要がなくなったし、そのことに対する興味も失せたからです。私もやっと本当の大人になれたのかも知れません。



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木戸友幸
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