77)フランス大使館でのパーティー
2017年の年末、東京広尾にあるフランス大使館のパーティーに出席しました。木戸医院の院長時代に、フランス大使館からの依頼でフランスへ渡航する人のヴィザ健診を引き受け、大使館の顧問医的な仕事をしていたのですが、このパーティーはその関連のものではなかったのです。2010年からエールフランスの顧問医をしていたのですが、そちらの関連のものだったのです。この年、エールフランスは日本就航65周年を迎えており、その記念パーティーがフランス大使館であったのです。東京と大阪に二人しか居ないエールフランスの顧問医の一人であった私にも招待状は届き、出席したということです。
フランス大使館は、もちろん東京の一等地である港区の大使館街にあるのですが、その敷地面積が半端ではないのです。25,000 m2 (2.5 ha) もあり、これはアメリカ大使館13,000 m2 (1.3 ha)のほぼ倍あるのです。フランス大使館のパーティー会場である大使公邸の前には広大な芝生の庭とそれを取り囲む森が広がっています。このフランス大使館の敷地の破格な広大さは、幕末の時の日本におけるフランスの立ち位置に由来しているのだと思います。ご存知のように、幕末には黒船で乗り付けたペリー率いるアメリカを始めとして、欧米の列強が虎視眈々と日本の利権を狙っていました。その中で、唯一徳川幕府に一方的に肩入れしていたのがフランスだったのです。このフランスの戦略は明治維新でもろくも崩れ去ったのですが、現在の大使館の敷地は徳川幕府に肩入れしていた時代に手に入れていたはずです。
さて、その広大な敷地の中の大使公邸のこれまた広いレセプションホールに200人ほどの招待客が集まり、エールフランス65周年パーティーが始まりました。もちろんこれだけの人数ですから、料理はビュッフェ形式でいくつかのテーブルにカクテルグラスに盛られたワインのつまみ風のものが、数多く出されました。これらは、さすがグルメの国フランスだけあって、どれもなかなか美味しかったです。それよりも、やはり大使館で出るワイン、特にシャンペンは一級品が揃えされており、これだけでも来た値打ちがありました。
このパーティーで一番盛り上がった催し物は、エールフランスのキャビン・アテンダントの制服のこの65年間の変遷を、ファッションショーで見せるものでした。日本人のプロのモデルがレセプションホールの中央を練り歩くのですが、若いフランス人男性がヤンヤの野次や声援を送ります。私の隣にいた大使館員らしいフランス人は、「あの中の一人をこの後、誘おうと思うんだが、日本人の若い女性の軟派のコツを教えてくれ。」と私に真剣に尋ねてきました。
というわけで、一風変わった日本の中の異国での一夜が更けていきました。
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