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71)フランス人の挨拶
 ヨーロッパでは、南に行けば行くほど情熱的で、出会いのときの挨拶もその分大げさになります。フランスはヨーロッパの真ん中辺りに位置しますが、こと挨拶の仕方については、南文化に傾いているようです。
 男同士では握手ですが、その回数も多いし、握手の仕方も何となく大げさなのです。それが、ほとんど毎日会っているような友人同士でも、このような大げさに握手を繰り返すのです。このことは、学生の時フランス語の夏期講習で、グルノーブルに一ヶ月滞在したときにたっぷり経験しました。

 男女の場合の定番は、ハグした後に両頬にチュッチュッとキスするものです。キスといっても、音をたてるだけなのです。頬同士を近づけるだけで、唇は触れないのが普通です。これも慣れればどうということはないのですが、最初はかなり戸惑います。スポーツの国際試合で、女子選手がメダルをとり、そのセレモニーで、授与者とこの儀式をしますが、最近は日本人女子選手もなかなか自然にこなしていますよね。

 握手は出来るだけ頻回に、くらいを覚えておけば、それで済みますが、両頬チュッチュッ(ビズbiseと言います。)の方は、どういうときにしたらいいかは経験で学ぶしかありません。これがなかなか難しいというか、ほとんど法則がないのですね。初対面でもビズを要求されることもあるし、いつでも、握手だけということもあります。まあ、こちらが日本人というかアジア系だと、フランス人の方からビズを強要することはあまりありません。特にアジア系の女性は、ビズされたくないという人の方が多いみたいです。女性で、男性からビズされたくない場合は、挨拶の時に自ら手を出して握手を求めればいいのです。私はもちろん男性ですが、フランス人女性に私の方からビズをしようとして、拒否されたことはありません。念のため。

 フランスで仕事をしていたパリ・アメリカン病院の男性アメリカ人医師に訊いてみたことがあります。彼はその当時、もう数年間パリで生活していたのですが、未だにパーティーに招かれたときにビズか握手かに迷うと言っていました。西洋人であるアメリカ人でも迷うのだから、日本人が迷うのは当たり前かと安心したことを覚えています。

 たかが挨拶、されど挨拶!

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木戸友幸
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