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52)宗教について

 日本国内では、宗教は水や空気のようなもので、とりたてて話題にすることはめったにありません。しかし、宗教の文化の中で占める割合は、日本以外の国では、かなり大きいのです。一歩日本から外に出ると、宗教は日常の中にも結構登場します。少なくともアメリカでは、最近でこそ、就職時に宗教を尋ねられることはなくなりましたが、いろんな機会に書類に宗教を書かされることがあります。そんな時に、正直に無宗教と書いても、それは本人の自由なのですが、一応、仏教(もちろんキリスト教ならばそう書いてください。)と書いておいたほうが無難です。何故なら、「無宗教」というのは、日本以外のほとんどの国ではそれなりのインパクトを持つ主張ですので。

  諸外国では、日本より確かに宗教が日常により深く入り込んでいるのですが、パーティー等の社交的な集まりの時には、エチケットとして、政治的な話題と共に、宗教は原則的に持ち出さない方がいいとされている話題です。その理由はかなりの国で、複数の、それも敵対した宗教が信じられているからです。ですから、必要がなければ、宗教の話題を持ち出さないというのが、生活の知恵なのです。私が3年間生活したニューヨークも、人種のるつぼで、あらゆる宗教を信ずる人がいました。アメリカ全体を平均すると、やはりキリスト教がマジョリティなのですが、ニューヨークではユダヤ教がマジョリティなのです。ですから、病院の年末のパーティーは、クリスマス・パーティーではなく、12月の中旬に行われるユダヤ教のお祝いのハヌカ・パーティーなのです。ニューヨークでもクリスマス・カードの交換はされますが、その文面は、Merry Christmasではなくて、Happy Holiday Seasonというのが定番です。これだと、どの宗教でも通用しますから。

  私自身は宗教について尋ねられた時は、仏教と答えていました。もう少し詳しい情報を求められた時は、「私の宗派は、戒律は無いに等しいくらい緩やかで、信じさえすれば、現世での幸せが保証されるんだよ。」とさらっと答えていました。

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木戸友幸
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