50)誰に何を伝えるか;横文字はファッションじゃない!
朝のワイドショーを観ていたら、ドクターヘリのことを報道していました。医師が同乗して現場に飛ぶヘリコプターのことで、日本ではドクターヘリと略され、そう言い習わされているようです。それは、日本での習慣なので、ドクターヘリとカタカナで書いて、日本人同士で分かり合っているのには何の文句もありません。そのヘリコプターの映像が出ると、機体に大きく横文字(アルファベット)でDoctor
Heliと書いてあるのです。この横文字は誰に向けたメッセージなのでしょうか? というのは、英語国民はhelicopterのことをheliとは略さないのです。略すときは、後半をとってcopterと言います。まあ、多少とも頭の働く英語国民なら、Doctor
Heliと書いてあれば、医師の同乗しているヘリコプターということは理解できるでしょうが、Doctor Heliとわざわざアルファベットで書く意図が私には理解できません。日本人だけに流布している略語を使うのなら、カタカナで書くのが妥当なのではないでしょうか。カタカナが読めずアルファベットは大丈夫な人を対象としているのなら、その人たちの理解できる風に書かないと意味がありません。全国の「ドクターヘリ」が、かなりの費用をかけて、この英語風のロゴを冠して飛んでいるのです。これを正式に決める前に、英語を母国語とする人間何人かに意見を求めるだけで、少なくとも、このちょっと恥ずかしい誤用を防げたと思います。
これに類したこと、すなわち、アルファベットで書かれた誤った英語やフランス語が、街を歩くとよく目につきます。以前、大阪の顔と言うべき新幹線の新大阪駅の構内にあった喫茶店の看板に「Nouvelle
Cafe何とか」と書かれていました。Cafeは男性名詞なので、正しくはNouveau Cafeなのです。これも、フランス人か、フランス語に詳しい日本人にたずねるだけで防げる間違いです。この場合、カタカナで書いても、ヌーベル・カッフェ、ヌーボー・カッフェと発音の違いが出ますので、間違いは分かってしまいます。その店の前を通る度に、店の人にこのことを教えてあげようかと思いましたが、おせっかい焼きと嫌がられる可能性もあるのでそのままにしておきました。そうこうしているうちに、新大阪駅の大規模改装工事があり、この喫茶店はなくなってしまいました。
国際化の波に乗って、何でもかんでも横文字で書けばいいというものではありません。横文字で書くときは、書いたものが間違いでないことことを確かめてからにしてくださいね。
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