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39)カナディアン・アカデミー

 カナディアン・アカデミー(CA)は関西で一番老舗のインターナショナル・スクールです。1913年創立で元々は六甲山麓にあったのですが、六甲アイランドが整備された1980年代にこちらに移転しました。

 ハーバート・ノーマンは第二次大戦で日本が敗戦し、アメリカの支配下にあったとき、GHQにカナダ外務省からの出向で勤務していたカナダ人です。彼は、歴史家でもあり、江戸時代の思想家、安藤昌益の研究でも知られていますが、外交官になる前の活動が当時のFBI長官マッカーシーの「赤狩り」に引っかかり、カナダで外交官に戻ってからもそれが尾を引き、結局は自死という悲劇に終わりました。そのノーマンが少年時代を宣教師の息子として神戸で過ごしたことは余り知られていません。そう、彼はCAの卒業生だったのです。

 現在のCAの生徒の多くは、長期滞在の主に英語系外国人子弟と日本人の帰国子女で、英語国の大学進学希望の人たちが多数派のようです。ほとんどすべての生徒が英語と日本語のバイリンガルです。本土と六アイを結ぶ、無人交通機関である六甲ライナーでは、時々CAの生徒たちと乗り合わせることがあります。彼(彼女)等の会話を聴いていると面白いことに気付きました。彼(彼女)らの会話は、話題に応じて英語と日本語を使い分けるのです。例えば、日本の近所で起こった事件の話や、日本の芸能人の話題などでは日本語が、ロックの話題や外国の事件の話題だと英語といった感じです。その変化の仕方も面白いのです。誰かが話題に合わせて英語を喋りはじめると、瞬時に全員が英語で応じます。その逆も瞬時です。日本語といいますが、皆神戸っこなので、神戸なまりの関西弁です。「あいつ、この頃、遅刻ばっかりしとうやろ。」などという台詞がいきなり白人少年の口から飛び出すと、ちょっとびっくりかつ滑稽です。

 どこの国にも突っ張り生徒はいるものです。 ある時、六甲ライナーに乗ると、3人のCAの生徒と隣り合わせになりました。二人の男子生徒と女子生徒一人でした。女子生徒が一方的に大声で喋り続けていました。その英語がひどいのです。3語のうちに一回くらい、活字では書けないFで始まる4文字の単語が入るのです。私がしかめ面をしていると、男子生徒の一人が気付き、喋り続ける女子に目配せし、私の方を向いて済まなそうな顔をしました。彼は大声が迷惑をかけていると思ったのでしょう。私は誤解を解くために、「日本人がすべて英語が分からないとは思わないほうがいいよ。高校生がそんな粗野な喋り方をするもんじゃない。私が学習した英語では、彼女の英語は、公共交通機関の中で大声でしゃべる種類のものではないと思うよ。」と英語で言いました。男子生徒二人は素直に謝りましたが、女子生徒は膨れっ面をしていました。でも、その後は少なくとも、おとなしくはしていました。

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木戸友幸
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