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178)国際政治経済における義理・人情
2026年4月28日に日本タンカー「出光丸」がイランの許可を得てホルムズ海峡を通過しました。これはイランによるホルムズ海峡封鎖からほぼ1ヶ月後のことです。その翌日の4月29日に在日本イラン大使館がSNS公式アカウントに出光丸出港についての発表をしました。まず1953年の出光のタンカー「日章丸」がイギリスの海上封鎖をかいくぐり、イラン産原油を日本に輸出した「日章丸事件」を紹介し、この歴史的任務(出光丸の出港許可)は「イランと日本の長年の友情の証」であり、現在も大きな意義を持ち続けていると強調したのです。何だか高倉健の任侠映画を観ているようでジーンと来ますね。でも思い起こすと国際的な政治、軍事、経済の世界でもこのような義理・人情は存在しているようなのです。
まず日英の関係です。上記の例では日章丸は英国と対立してイラン原油を輸入しましたが、日本と英国は明治時代からかなり関係は深いのです。それも日本の方が圧倒的に恩恵を受けた関係です。日本の開国後の日本海軍は、ほぼ全面的に英国海軍を見習って形作られました。全面的にと言ったのは、下級兵士の懲罰法まで受け継いだくらいですから(英国の鞭、日本の棍棒の違いはありますが)。英国の指導により日本帝国海軍は強力な海軍になりました。日露戦争でロシアのバルチック艦隊を完膚なきまでに粉砕した理由の一つが、ヨーロッパから日本海までのバルチック艦隊の長い航海の情報を逐一英国が日本に送ってくれたことだと言われています。さて現在、英伊日の三国で次世代ステルス戦闘機の開発が進んでいます。これは英日両国とも元々自国で新しい戦闘機製造の計画を練っており、それをこの段階で共同でやろうという動きになり、そこにイタリアが加わったということらしいです。日本はアメリカの戦闘機をライセンス製造した経験はありますが、独自製造の経験はありません。英国には独自製造の実績があるので、やはり日本が英国との100年来の「義理」でこの戦闘機開発に加わったのでしょう。
次は国際経済においての義理・人情です。2008年にリーマン・ブラザーズ倒産という世界の経済界を揺るがす事件が起きました。その時、やはり最大手のモルガン・スタンレーも倒産の瀬戸際に立たされていたのです。そこで、その救済のために1兆円の小切手を切ったのが三菱UFJ証券だったのです。2010年には両者は合弁事業を開始し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUFJMS)となります。2011年にはMSは早くも負債を解消。MUFJ側から見ると投資した1超円は、その2倍以上の利益をもたらします。そのため、このMUFJの一兆円の出資は「神の一手」と呼ばれています。MSのCEOは2010年にジョン・マックからジェームズ・ゴーマンに引き継がれますが、MUFJとの合弁をさらに深めて行くことにしました。この10数年間の歴史も、まさに任侠の義理・人情の世界で、その結果として信じられない利益も出しているのです。すごいと思いませんか?
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