156)思わぬ悲報
2024年10月13日、日曜の朝、メールのチェックをしているとアマゾンプライムの映画案内が届いていました。その中にあった1980年代の作品「パリ、テキサス」を何となく観たくなり、翌日はスポーツの日の祝日でもあったので、午後早くに2時間かけて一気観しました。なかなか見応えのある作品だったのですが、それ以上に興味深かったのが、80年初頭、当時のマンハッタンで観た「キャット・ピープル」で主役を演じたナスタシア・キンスキー(Nastassja Kinski)という女優が脇役ですが、重要な役割で出ていたことでした。
このキンスキーという女優は、当時私も好きだったのですが、ブルックリンの病院で私の指導医だったスティーブも当時、熱狂的なファンで、1983年6月、私の帰国直前に彼が個人的にアレンジしてくれたサンデー・ブランチを兼ねた送別会の際に、彼女のことを熱っぽく語ってくれたので、未だに私の記憶に残っていたのです。(ブルックリンこぼれ話、第51回、Brooklyn Memoir 43参照)
映画を観た後、あれから40年経った今、スティープがどうしているかが気になって、彼のフルネームでネット検索を試みました。すると数分でいくつかの記事が見つかったのです。ショッキングなことに、どの記事もスティーブの訃報を伝えるものでした。彼は2008年にマサチューセッツ州の従兄弟を訪ねた時に突然死したとありました。スティーブは私のレジデント研修時代、若手の指導医で、確か私の数歳上くらいだったのです。ですから、60代前半の若さで亡くなったのです。彼は16年前に亡くなっていたわけですが、彼の死を悼む知人や友人からの追悼文は未だにネットに残っていました。彼は、専門医志向のマンハッタンで家庭医として開業するという初志を貫徹し、その熱意に刺激され、その後当地で開業した家庭医たちからの追悼文も多くありました。
というわけで、秋晴れの連休の初日を40年前の異国のかつての友人の追憶で過ごしたのです。
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