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154)デジタル音痴が結ぶ友情

 2024年6月、ドイツ・ロマンティック街道の北端のビュルツブルグを訪れた時のことです。ここでは宿泊の予定はなく、昼前に駅に到着し街を観光した後、夕方前に次の訪問地のローテンブルグに鉄道で行く予定でした。重たいスーツケースを駅のロッカーに入れた上で観光しようとロッカーを探すと、それは簡単に見つかりました。スーツケースを入れて、施錠しようと思うと、その説明がドイツ語でも英語でも、どこにも書いてないのです。取り合ええず料金を入れればいいのだろうと思いましたがクレジットカードの差し込み口も紙幣のそれもなく、コインの差し込み口があるだけでした。振り返ると、同じように施錠に苦労している同年輩の女性2人の白人旅行者が目に入りました。話してみると、地方から観光旅行に来たドイツ人で、英語はほとんど理解できないようでした。身振り手振りでコインの入れ口を教えてあげると、うまく施錠できました。こちらの方は紙幣しかなくコインがなくて困っていることを伝えると、二人がポケットを探し両替をしてくれ事なきを得、笑顔で別れました。

 市内観光を終え15時に駅に戻り、30分後の出発に備えスーツケースを出そうとすると、今度は開錠の仕方が分からないのです。駅員を呼びに行こうと思った矢先、妻がロッカーの受け取りにQRコードが書かれており、ロッカーの扉にもQRコードのマークがあり、そこが点滅しているのを発見しました。受け取り用紙の QRコードをそこにかざすと無事にロッカーは開きました。電車に遅れたら困るので、自分たちのことしか頭になかったのですが、ロッカーが開いてホッとし、ふと振り返ると、何と昼前のあの二人のドイツ人女性が同じように、解錠に悪戦苦闘しているではありませんか。もちろん、魔法のQRコードによる解決法をすぐ教えてあげました。この奇跡の再会、奇跡の助け合い(ちょっと大袈裟かな?)に相手も大喜びで、双方ハグし合っての別れになりました。

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木戸友幸
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