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153)ロマンティック街道再訪

 異文化ブログ(107)で「ドイツ語圏のドライブ旅行」の話を書きました。2024年6月に30年前のドライブ旅行でのハイライトであったロマンティック街道を再訪しました。今回は妻と一緒でした。実は緑内障で左右の視力に差ができてきたこともあって、数年前に免許証を返納しているので、ドイツでの移動手段は鉄道(一部バス)でした。これが、様々な異文化体験をもたらすことになります。

 旅行以前にドイツの鉄道に関しての知識はほとんど持ち合わせていませんでした。しかし、普通の日本人が抱いている、規則を守り万事きっちりしているというドイツ人気質から、鉄道も規則正しく運行されていると思っていました。ところが、それが真逆だったのです。10分、15分の遅れは日常茶飯事で、その程度は想定内でした。しかし、長距離列車で乗り継ぎが必要な時に、10分遅れで乗り継ぎ駅に到着しても、乗り継ぎ便が待ってはくれないのです。新たな乗り継ぎ便は、到着ホームも変わります。車掌に聞いても英語を理解する人も少なく、説明もおざなりです。こういうことが、1日で複数回起き、やっと解決法が見つかりました。ホームにいる若いドイツ人の乗客に尋ねるのです。彼(彼女)らはスマホを器用に操ってたちどころに乗り継ぎ便の時刻と到着ホームを教えてくれました。それに若いドイツ人は英語も達者でした。彼らの大多数は、哀れな日本人旅行者に同情してくれ、「ドイツの鉄道は、誰も信用してないのです。ですから我々も、こんな風に自衛しないといけないのです。」と言っていました。

 30年前にレンタカーで同じロマンティク街道を旅行した時に接したのは、レンタカー会社の職員や、学会場での医師たちといった英語が職業柄必要な人たちばかりでした。少なくとも、一般のドイツ人の英語能力を多少誇大評価していたと思います。でも、今回の旅行で、どこの国でも、本当の意味での自然な「おもてなし」精神を持った若者がいることが分かり、1週間の旅行の最後に嫌な感情は、ほとんど残らなかったです。

 追記:30年前、レンタルしたメルセデスでノイシュバンシュタイン城を訪ねた時のことです。城のある山の中腹から降りてくると、日本人のカップルから呼び止められ、「私達、もう歩き疲れちゃって、すみませんが駅まで乗せて行ってくれませんか」と頼まれました。城からフュッセンの駅までは、バスで30分ほどかかりますが、当時のバスも多分、時刻通りには運行していなかったのでしょう。(今回も30分遅れで、にわか雨に降られ大変でした)多分、それ以前の鉄道移動でも苦労していたのだろうと、今回の旅行の体験から30年後に初めてあのカップルの「疲れちゃった」本当の理由が理解できました。

ノイシュバンシュタイン城

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木戸友幸
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