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126)Wilding

 Wildingは野生化するというのが本来の意味ですが、凶暴化するという意味もあり、現代の一部の若者の生態を表しており、映画や書物のタイトルになったりもしています。実は2018年にこの本来の野生化の意味のWildingというタイトルのノンフィクションを読みました。この本では、イギリスの貴族が代々受け継いだ1,400ヘクタールという広大な敷地を野生化した経緯を実際にこれを発案し、実行したその土地の所有者の貴族の妻Isabella Tree が綴っているのです。Treeなんて名前自体が象徴的ですね。この広大な敷地に、まず植生を昔からのイギリス本来のものに変えていきます。そして野豚、ヨーロッパ型の野牛(バッファロー)、ヨーロッパ原産の小型馬などを放し飼いするのです。そうこうしているうちに、これまで飛来しなかった渡り鳥や、蝶などが飛来してくるようになったのです。

 1,400ヘクタールでも広大な面積ですが、オランダには何と6,000ヘクタールの自然保護区があり、ここでは様々な野生動物が野生のままで生活しています。オーストファールテルスプラッセンと長くて舌を噛みそうな名前です。オランダは国土の多くが 海抜0メートルで、堤防と干拓地で出来た国です。フランス語ではオランダをPays bas(低地の国)と呼んでいます。このオースト・・・は産業誘致の為に干拓した土地が事業の失敗で宙に浮いてしまい、自然保護区に鞍替えしたところなのです。Wildingの著者のTreeも参考の為に何度もここを訪れたと書いています。 オースト・・・もWildingもググってもらえれば、映像満載で楽しめます。ぜひお勧めします。

 さて、これらの先例に比べると規模はかなり小さいのですが、私が注目しているのは、所ジョージのテレビ番組「目がテン」の「かがくの里」です。ここは茨城県の小さな里山なのですが、番組企画として里山開発の各分野の専門家の力を借り、荒れた森を間引き、畑や池を作り、フクロウなどの野鳥を呼び込む為に巣箱を作るなどの実験的な試みをここ数年続けています。かがくの里の特徴は、人工池の中を水中カメラで観察したり、巣箱を夜間も撮影可能なカメラで常時観察したりとか、ハイテクを生かした方法論をとっているところです。信頼のおける専門家に依頼していることもあり、ニホンウナギの養殖にもフクロウの営巣にも成功しているのです。言うならば、超現代版Wildingなのです。

 コロナ禍が落ち着いたら、イギリスとオランダの野生区をぜひ訪れてみたいと思っています。

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木戸友幸
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