Dr.Kido History Home
E-mail

L'ETE 1975  

ボタン L'ETE 1975(6) ボタン

6)フランス語教育について
 さて、ここでグルノーブルの夏期講習から少し離れて、フランスが外国人に対して行っているフランス語教育について少し述べてみたいと思います。

 私が大阪医大3年生から通い始めた大阪日仏学院は、フランス国家公認のフランス語学校で、教師も一部はフランスから派遣されていました。したがってその教育法もフランス式の伝統的なものだったのです。

 日仏学院での授業開始時の私のフランス語能力はNHKのラジオフランス語講座を1年間聴いただけでのものでしたので、非常に拙いものでした。しかし、初級クラスの一回目の授業から教師が使用する言語はフランス語のみでした。初級フランス語を簡単な語彙と文法のフランス語で、手を替え品を替え根気良く教えるということなのです。もちろん、スライドの教材に沿って教えられるのですが、説明に使われるフランス語のお陰で、語彙と表現力がどんどん増えてくるのが実感できました。もちろん、フランス語がそれほど好きでない生徒にとっては、日本語で説明されても分かりにくい言語をフランス語で説明されるわけですから、たまったものではありません。初級クラスでは脱落者も多かったことも事実です。

 初級クラスはA1,A2, A3と3段階になっていましたが、A2になると書き取り(ディクテ)や簡単なことをアドリブで口頭発表するといったようなことも授業で行われました。これらはフランス語をさまざまな側面から練習して、総合的なフランス語力を付けるという目的があったのだと思います。

 お分かりになったように、教授法はグルノーブルの夏期講習で受けたものも、大阪日仏学院で受けたものも基本的には同じなのです。フランス文化の根源は理路整然なフランス語にあるということで、昔から外国人へのフランス語教育は、フランスの重要な国家事業の一つで、その教授法の改良はこれはまで熱心に行われてきました。近年英語が世界語として全世界に普及してきて、フランス語の影響力は相対的に低下してきています。そのため、フランスはこれまで以上に国を挙げて、外国人に対するフランス語教育に力を入れているようです。

| BACK |

Top

木戸友幸
mail:kidot@momo.so-net.ne.jp