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L'ETE 1975  

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11)ウドとのテニス
 ウドがパラパユパンを怒鳴りつけてから数日たった頃、友人があまりいないウドを慰める意味で、彼をテニスに誘いました。するとウドはよほど嬉しかったのか、ニコニコ笑いながら、授業が済んだらその日の夕方にやろうと言うではありませんか。フランスは夏時間を採用しているので、授業が済んでからの午後5時や6時くらいは真昼の明るさなのです。それまで、知らなかったのですが、彼は奥さんと来ているらしく、妻も一緒に連れてきていいかと訊きます。もちろんOKと答えると、いっそう喜んでくれました。ここまでの、会話はもちろんフランス語ではなくて英語です。ドイツ人は英語な上手な人が多く、ウドも例外ではありませんでした。

 授業が済み、テニスの準備を整えコートに出向きました。ウド夫婦はもう到着していました。夫婦とも真っ白なテニスウェアーに身を包み、かなり高価そうなラケットを持っていました。ウドは当時30歳半ばくらいだったと思うのですが、頭はかなり禿げていました。しかし、夏のテニスウェアーを纏った肉体は筋肉質で若々しかったです。奥さんは、金髪の美人でウドより長身でした。遠目にはスタイルはよかったのですが、近くで見るとかなり太めで太腿にはセルライトが明らかに浮き出ていました。練習の打ち合いを始めると、太めの奥さんは10分ほどで、もう弱音を吐き初めました。「ドイツの夏はもっと涼しいの。これほど暑いと体力をすぐ消耗するから、もう駄目。」と30分でリタイアしてしまいました。さすがに筋骨隆々のウドは体力もあり、それから我々は6ゲームマッチのシングルを楽しみました。

 テニスの後、ウドと四方山話をしました。彼はドイツでは会計士として会計事務所に勤務しているそうです。いつもの身なりや、テニスの用具からして収入はかなり良さそうです。また一か月の夏休みがとれるのですから、休暇も豊富なようです。これも後で調べたことですが、その当時からドイツはフランスより有給休暇が多い国だったのです。(ということは世界で一番多い!)
ウドは、私にテニスに誘われたことが余程嬉しかったようで、いつでもドイツに遊びに来い、来たら歓待してやると本気で言ってくれました。

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木戸友幸
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