ブルックリンこぼれ話(30) 
ウエスト・ポイントへのドライブ
1980年の9月くらいのことだったでしょうか。7月に渡米し、やっとレジデント研修に少し慣れてきて、車も購入した頃でした。慣れてきたといっても、日々の生活は肉体的には厳しく、これから先3年間、レジデントとして生き残ることが出来るだろうかといった不安からの軽いウツもありました。
久々の土日の連休がとれたのです。天気予報を見ると快晴の予報です。そうだ、気分を変えるためにドライブをしようと思い立ちました。ニューヨークの駐在経験のある叔父から得た情報で、マンハッタンからウエスト・ポイントまでのドライブは特に秋口には最高だぞというのが記憶に残っていました。よし、ウエスト・ポイントまでドライブしよう!
ハドソン川:ニュージャージー州側から、ニューヨーク州側を眺めたところ
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ブルックリンからマンハッタンに渡り、ハドソン川に架かるジョージ・ワシントン橋を渡るとニュージャージー州です。そこからずっとハドソン川沿いを北上するのです。半時間もドライブすると、マンハッタンの摩天楼は点景になり、崖が切り立ったハドソン川が延々続きます。休憩所で休んで、ハドソン川の崖っぷちの見晴らしのいいところに立つと、地平線まで見渡せます。やっぱりアメリカは広いなあと、渡米して始めてこのときに実感しました。
2時間ほどのドライブで、ウエスト・ポイントに到着しました。特に何の変哲もない地方の学園都市という風情でした。ウエスト・ポイントはもちろん、米国の陸軍士官学校なのですが、外から見るかぎりでは、普通の大学と大した違いはありません。マッ
カーサー元帥や、戦車隊のパットン将軍などが、学んだところと考えるから、カリスマ性が出てくるのでしょう。もっとも、最近では、在校生のセクハラ事件などでカリスマ性も薄れ気味ですが。
暗くなる前に、ブルックリンはシープスヘッド・ベイのアパートに戻りました。快適なドライブで、身も心も少し軽くなったような気がしたのを覚えています。
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