私とプライマリ・ケア
(プライマリ・ケア 2007年3月号 掲載)
木戸医院 木戸友幸
私のほぼ30年になる医師人生を振り返ってみると、その大半をプライマリ・ケア(PC)に捧げてきたように思う。卒後3年目から厚生省(当時)の留学制度にて米国で家庭医療学のレジデント研修を3年間受けた。帰国後の10年間は国立病院でPCの臨床と教育に携わり、その後、父の開いた医院の継承開業までの2年半はフランス・パリにて邦人のPC医療を立ち上げた。97年からは、ここ木戸医院にて、地域のPCというPCの王道を歩んでいる。恐らくここは私の生涯の職場になるであろう。
PC学会には米国からの帰国直後の80年代半ばに入会した。最初は一学会員として、何度か発表もさせていただいた。外国人医療についてや不明熱についての発表は学会誌にも掲載していただき、私自身大いに学ぶところがあった。
フランスから帰国後の90年代末に推薦により、学会誌編集委員を務めることになった。これは、現在まで続いており、2003年からは英文誌の編集委員も兼ねるようになっている。この10年近くの編集委員の経験により、PCの学術面での造詣がほんの少し増したような気がする。
2005年の京都WONCAを控え、03年に学会の理事を仰せつかった。これまでは、一学会員であったのだが、理事を務めることにより、PC学会の運営面での勉強をさせていただいている。また、WONCAではわが国のPCを語るというシンポジストを務めさせていただくことが出来、非常に光栄に思っている。
現在、私は50代半ばで特に健康問題もなく、PC医としては一番油の乗った頃ではないかと、内心思っている。これまでのPCの経験を出来るだけ後輩に伝えようという意図で、ここ数年間一番力を入れているのは、医学生・研修医の診療所研修である。
私の医師人生の後半30年も恐らくPCで明け暮れると思うが、皆さんと供に頑張って行きたいと思っている。